NO.281 『おでかけのまえに』
筒井頼子 作/林明子 絵/福音館書店
4月に入園してきた3歳児。1ヶ月たち、少しずつ園生活にも慣れてきたころです。
外遊びに出る前にクラスみんなでトイレに行ったときのこと。個室に入りドアを閉めるのが怖いという子が3人、両手、両足を使ってドアを押さえます。ズボンのホックがかけられない子、水道の蛇口がわからない子、いっぺんに対応するのにてんてこ舞。そんな私をいつも見ていたのでしょう。トイレに行くとき必ず最後に並んでいる女の子がトコトコやって来て、
「ドア、押さえてあげる」と手伝ってくれました。人のことはいいから自分のことを先にしようね。と、言いたい気持ちをこらえて、子どもの気持ちを大切にしようと思い「優しいのね。ありがとう」と見守ることにしました。
「私はドア閉めるから手をはなして!」「やらなくていいよ」と、4歳児に言われていましたが、楽しそうにニコニコ。そのあとも水道の蛇口を一人ひとり押してあげていて、結局、一番最後に外遊びに出ましたが、本人はとても満足そうな笑顔で「明日もやる」とはりきっていました。そんな姿をみて私は、この絵本を思い出しました。
晴れた日曜日。今日は家族でピクニックに行く日です。あやこはお母さんのお手伝いでお弁当を詰めたり、お父さんを手伝ったり、、、さて、あやこはどうなるのでしょう。
おでかけする前の忙しい朝に限って何かやらかしてくれる子どもたち。きっとワクワクする
あやことおんなじ気持ちなのでしょうね。
それにしても、「何やってるの!やめて!」とついつい叱ってしまいそうな場面がありますが、このご両親の落ち着いた優しい対応になんだか心がぽかぽか温かくなります。1980年生まれのこの絵本。私と同い年のロングセラーです。(
優 )