横浜市幼稚園協会

子育て応援団 〜絵本の散歩道〜

NO.251『』おんぶはこりごり』
アンソニー・ブラウン作 藤本朝巳訳 平凡社  原題はPIGYBOOK

直訳すると「豚の本」又は「子豚の本」となるのでしょうか。辞書で見ると、piggy backはおんぶの事、piggy bankは貯金箱で、この本に出てくるお父さんはピゴットさんという名前ですが、英語での名前はpigottでした。ここにもpigが入っています。

絵本を見ていただくとわかりますが、なんにも家事をしない父親と息子たちに、母親が「Your are pigs.」日本語訳では「ぶたさんたちの おせわは もう こりごり!」という置手紙を残して出て行ってしまいます。残された親子3人(匹)は豚になってしまい、しようがなく料理を始めますがひどい味、最後は食べるものも無くなり「這いまわって食い物を探すんだ」と探しまわっている時に母親が帰ってきます。それから、3人はお皿も洗うし、ベッドもなおすし、アイロンもかけるようになり、片や母親は……。

本の内容も面白いのですが、新聞を広げた場面の食卓にあるシリアルの箱の絵、母親の出かける場面のレンガのいたずら描、豚になる前の父親のボタン、母親の顔の描き方、窓の外のオオカミ(豚が3匹なら当然おおかみがいなければ)、豚の恰好をした外の木、壁紙、肖像画の変化、手紙が置いてある暖炉の上の絵画も見落とせません。この絵の原画は英国の理想の夫婦を描いたものだそうで、その姿をもじって妻は空白、夫は豚になっています。

3人の姿が人間に戻って、「ママはしあわせでした」と汚れたほほで語っています。でも最終ページの自動車のナンバープレートは逆から読むと123pigs これは何を意味するのでしょう。母親は3匹の豚を修理し続けているのでしょうか。

毎日帰宅が遅いダンナのために、さりげなくこの本を食卓に置いてみませんか!

    中川素子編「女と絵本と男」を参考にしました。    (具)

おんぶはこりごり

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