横浜市幼稚園協会

子育て応援団 〜絵本の散歩道〜

NO.248 『おれはサメ』
片平直樹 作・山口マオ 絵  フレーベル館

  

 先日、野生のイルカが住み着く伊豆七島の御蔵島へドルフィンスイムに出かけました。
そこでガイドさんからこんな話を伺いました。「かわいくて人懐こいイルカですが、肉食です。人間がイルカに接近しすぎたり、触ろうと手を伸ばすととても嫌がります。今まで人を襲ったことはありませんが、水族館のショーでお馴染みのイルカの大ジャンプを繰り出す強靭な筋肉の塊のヒレに叩かれたら、私たちはひとたまりもありません。決して手を出さないでください」とのこと。イルカが人を襲わないのはそれだけ高い知能を持った動物だからでしょう。一方、人を襲うといえばサメ。獰猛で残虐な恐ろしいイメージが先行していますが、ほとんどの種類のサメは警戒心が強く、サメの方から好んで近寄ってきたりはしないそうです。人を襲うのはほとんどがホホジロザメによるものですが、本来はとても好奇心が旺盛であるために“味見”はするけれども捕食はしないとのこと。実はこの絵本に登場するサメのようにいばりんぼうだけど、素直でかわいい性格なのかもしれません。

 

 「わにわに」シリーズの山口マオさんの木版画に色を重ねていく手法で描かれた絵は

海の透明感、水の質感がとてもきれいに表現されていて思わずひきつけられます。それとは対照的なユーモアあふれるストーリーがこの絵本の魅力のひとつではないでしょうか。

 

 いばりんぼうのサメ。いばるのってけっこうきもちいい。だけどイルカみたいな人気者になりたいなと思い、いろいろと試行錯誤し懸命に努力するのですがどれも失敗。適当なことを言った月のおかげで足がはえてしまいます。さて、サメは人気者になれるのでしょうか。とても素直で愛くるしいサメ。この絵本を読んだ子どもたちがサメのファンになりますように。                              

(優)

おれはサメ

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