横浜市幼稚園協会

子育て応援団 〜絵本の散歩道〜

NO.241 『まゆとおに −やまんばのむすめ まゆのおはなし−』
富安 陽子ぶん  降矢なな え 福音館書店


 昔話に登場する「やまんば」といえば、人を騙したり馬や人を喰う恐ろしい妖怪をイメージします。この絵本にでてくる、やまんばかあさんはどうでしょうか。片手で軽々と山積みの大根を持ち上げる怪力、豪快で気風のいい女性というのが−やまんばのむすめ まゆ−シリーズ4冊を読んで受けた印象です。

 そんなやまんばかあさんに育てられた天真爛漫なまゆは、ある日鬼に会います。鬼はお腹がすいていましたのでまゆを家に招き、煮て食べようとします。ところがまゆは鬼が恐ろしいものだとは知らずに、“おもてなし”されているのだと思い込み、やまんばかあさん譲りの怪力で、進んで鬼の手伝いを始めます。さて、まゆはどうなるのでしょうか。

 最初はドキドキしても、この絵本を読み終わる頃には、やまんば母子の純粋な心に触れ温かい気持ちになります。寒い季節、お子さんを膝に乗せ、読み聞かせてほしい1冊です。

 著者の富安陽子さんの作品は他に『クヌギ林のザワザワ荘』『盆まねき』など、日本の古くから伝わる伝承的な話や昔話を独自の世界観で描いているものが多くあります。(優)

まゆとおに

絵本インデックスへ戻る。