横浜市幼稚園協会

子育て応援団 〜絵本の散歩道〜

NO.239 『マッチ箱日記』 (今月のおまけ 大人向け)

文/ポール・フライシュマン  絵/バグラム・イバトゥ-リン  

訳/島 式子 島 玲子  BL出版


  100円ライターに追われ、マッチ自体あまり見かけなくなってしまいました。私が子どもの頃は日用品としては勿論のこと、飲み屋をはじめとした手頃な宣伝媒体として、さまざまなデザインのマッチ箱を目にすることができました。

小学生の頃のマッチに関した記憶は山程ありますが、その中に、テレビの西部劇の中で、カウボーイたちがブーツの靴底でマッチをするさまのかっこ良さに憧れ、何度も試してみても上手くいかなったことがありました。じきに、原因が黄燐マッチと赤燐マッチの違いであることが分かり、その後は擬似黄燐マッチ(?)作りに励んだことも楽しい思い出です。大人から見れば、眉をひそめたくなるようなことばかりだったのかもしれませんが。

今回紹介する絵本は、そんなカウボーイの時代が終り、マッチも安全な赤燐マッチとなってしまった後の時代、アメリカが多くの移民を受け入れながら発展していった時代の話が中心となっています。それにしてもマッチ箱日記というのは、一体どういうものなのでしょうね。

私は、マッチとは逆に、日記と名の付くものとは殆ど縁がなく、夏休みの日記が宿題となった時も、1ヶ月分をほぼ一日で書き上げたぐらいですが、そんな私でも、この絵本のようなマッチ箱日記だったら、ずっと続けられたかもしれないと思えるほど素敵なものです。絵本としては、子ども向けのものではないかもしれませんが、箱というものが、大切なもの、素敵なものを大事にしまっておくものだということを、改めて思い起こす一冊だと思います。(S.T)

マッチ箱日記

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