NO.214 『どろぼうがっこう
かこさとし おはなしのえほん
偕成社
おいのこもり という、へんな なまえの もりに、 きんと ぎんの めをした へんなみみずくが すんでいました。 これから おはなしするのは、 その へんな もりの へんな みみずくが、 わたしに おしえてくれた おかしな へんな おはなしです。
このような出だしで始まる、「どろぼうがっこう」が今回紹介する絵本です。
初版は1973年、園児のお父さん、お母さんも見覚えがあるかもしれません。
どろぼうがっこうの校長先生は、世にも名高い「くまさかとらえんもん」先生。「どろぼうがっこうの生徒は、一生懸命精を出して早く1番悪い泥棒になるよう、うんと勉強しなければいかんぞ」とかわいい生徒に檄を飛ばします。生徒は「はーい」「へーい」「ほーい」「わかりやしたー」「がってんで ござんす」と答えます。描かれた生徒はかわいいなんて決して言えない、ごろつき風です。くまさか先生の出した、明日までの宿題は泥棒をやってくること。生徒たちは自分の家から靴を盗んだり、ありの卵を盗んだり、くまさか先生の時計を盗んだり、学校の黒板を盗んだりとみんな落第。
学校ですから遠足もあります。集合は夜の10時、持ち物はねじまわしと出刃庖丁、もちろんお菓子は持参禁止。「ぬきあし さしあし しのびあし どろぼうがっこうの えんそくだ それ ぬきあし さしあし しのびあし どろぼうがっこうの えんそくだ」と着いた先は隣町の1番大きな屋敷。さてこの先は……?
「くまさかせんせい、ごめんなせー」「ざんねんむねん。ふかくのいたり。「しまったしまった、くちおしや。」というセリフや、くまさか先生の歌舞伎で見栄を張ったポーズを、幼稚園の子どもが真似をしないかなと思ってしまいます。先生の羽織の文字はほとんど読めないけれど、推測すると面白いですよ。最後の場面で、窓の外にみみずくがいるのもお見逃しなく。 (具)