横浜市幼稚園協会

子育て応援団 〜絵本の散歩道〜

NO.175  『 ピーターのとおいみち 』
バーバラ・クーニー/絵  リー・キングマン/文  三木卓/訳    講談社

森の中に住むピーターには一緒に遊ぶ犬や猫や家畜たちはいましたが、友だちになる男の子や女の子はいませんでした。ピーターはいつも寂しいと思っていました。

お母さんは「いいこと、ピーター。いつつに なったらね、むらの がっこうへ いく ことに なるの。そうしたら、まいにち いっしょに あそべる ともだちが できるわよ。」「だから、それまで まつのよ。」と言いました。ピーターは待ちました。春になり、5歳の誕生日にピーターは「いっしょに あそんで くれる ともだち、ぼくに くださいな。」と願ってローソクに息を吹き掛けましたが、1本消えずに残ってしまいます。でも、お母さんは言いました「ねがいごとは じぶんで かなえるのよ。」と。

次の朝はやく、5歳になったピーターは、お母さんがまだ眠っているうちに、願いごとを自分でかなえるために、村の学校へと出かけて行きました。しかし、村まではとても遠く、ピーターは途中で何度も誰かに見られているようなゾクゾクした気持ちがしたり、寂しさにかられたりしました。それでも、とうとう村の学校に着いたのでした。

この絵本が日本で出版されたのは比較的最近のことですが、アメリカで最初に出版されてからは50年以上が経ちます。絵本に描かれている情景と今の日本の子どもたちの育っている環境とでは随分違っているのかもしれません。それでも、友だちが欲しいという気持ちは、いつの時代でも変わらないように思います。

「たまごの からの なかの ひなのように」、「こうらに もぐりこんだ かめに なったように」、「しっぽの ない いぬに なったように」、「そらの まんなかに ぽつんと いる たいようのように」、「いきさきを もたない そらの くものように」。これらは、ピーターの寂しい思いとして、絵本の中で表現されている言葉です。時代は変わり、現代の子どもたちは、どのような言葉で自分の思いを伝えていくのでしょう。

ところで、ピーターは友だちを見つけられたのでしょうか、それは、ピーターとこの本を読んだ人だけの秘密です。(S.T)

ピーターのとおいみち

ピーターのとおいみち

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