横浜市幼稚園協会

子育て応援団 〜絵本の散歩道〜

NO.173  『 七ひきのねずみ 』
エド・ヤング/作  藤本朝巳/訳  古今社

横浜市幼稚園協会のカウンセラー、臨床心理士の鈴木由美子先生は、カウンセリング講座の中で「目隠しして象をなでる」という話をしてくださいました。大きな象のある一部だけを触っただけでは、全体を知ることができない、という中国の故事からの例えです。そのとき私の頭に浮かんだのがこの絵本でした。

作者は、エド・ヤング、以前絵本の散歩道で紹介した「ロンポポ」を描いた人です。あまりの手法の違いに戸惑いを感じますが、中国に生まれ、育ち、東洋の伝統的な切り絵の技術で表現したり、鮮やかなパステル画で描いたり多彩な表現方法を用いていると聞けば納得がいきます

七ひきのねずみたちが池に出かけていきます。そこで不思議なものに出会いびっくりして逃げ帰ります。ねずみたちは月曜日から順番に調べに出かけます。そこで、はしらのよう、くねくねへび、とがったやり、おおきないわ、ひらひらせんす、ふさふさのなわと調べてきたものをいい合います。七ばん目のねずみが日曜日に確かめにいきました。あっちからこっち、はしからはしまで駆け回り「なるほどね。やっとわかったわ。みんなあわせると…」そこで、ほかのねずみたちもあっちからこっち、はしからはしまで不思議なものを調べて回りみんなにも全部が見えた。という話です。

黒い画面に、赤、緑、黄、紫、橙、青、白のねずみたち、読み進むにつれ、「次は○○色のねずみだよ」「あれはへびじゃなくて、はなだよね」子どもたちがヒソヒソと隣と話しながら見入っています。どっぷりと絵本の世界に引きこまれた子どもたちと向き合っていると心地よさを感じます。

最後が、ちょっと教訓めいていますが、大人も子どもも一読いただきたい絵本です。(go)

ピーターのとおいみち

七ひきのねずみ

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