横浜市幼稚園協会

子育て応援団 〜絵本の散歩道〜

NO.166  『 三びきのコブタのほんとうの話 』
ジョン・シェスカ/文  レイン・スミス/絵   いくしま さちこ/訳 岩波書店

このところ「大連立」の問題で民主党の党首が辞任をするだのまたそれを撤回するだのといった話題で持ち切りでしたが、その後「そもそもは某新聞社の主筆が持ちかけた」などの話も出てきて、状況がますます混み入ってきました。密室政治との批判がなされていますが、一昔前なら最初から最後まで庶民は何も知らないままに決められてしまっていたのでしょう。それが今は、お互いに自分達が有利になるように情報操作をし、意図的に情報を漏らす時代になって、なんでそんな話が出てくるのかと、びっくりさせられてしまうのかもしれません。

今回ご紹介する絵本では、かの有名な「三びきのコブタ」の物語りが、当事者であるオオカミの証言をもとに描かれ、皆さんの知っているお話とは180度違った内容になっています。ジョン・シェスカの、眉をひそめてしまいそうな言葉遣いもさることながら、なんといってもレイン・スミスの毒満載の絵が秀逸で、健全なお母様方ならまず手に取ったりはしないだろうし、どこの幼稚園でも、読み聞かせなどはしないだろうと思います。それでも、いまだに版を重ねているところをみると、子どもの目につかないように、内緒でご覧になっている人も少なくないということで、毒とか内緒とくれば、毒饅頭とか密室に繋がる要素は誰しも持ち合わせているということなのでしょうか。

この絵本は、どういうわけか紹介文が書かれて1年以上も他の原稿の下に埋もれたままになっていました。1年経ち、予想もされなかった政権交替が行われるなど、政局は大きく変化しました。それでも、当時メディアを賑わせていた人物は、当面の相手が検察局に変わったものの、同じように情報操作の渦中にいるようです。時が経てど、人の世もオオカミとブタの関係は変わらないというところなのでしょうね。(S.T)

三びきのコブタのほんとうの話

三びきのコブタのほんとうの話

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