横浜市幼稚園協会

子育て応援団 〜絵本の散歩道〜

NO.154  『 てん 』
作者 ピーター・レイノルズ   訳 谷川俊太郎  あすなろ書房

誰にでも得意なものと苦手なものがあります。得意なものに対しては、言われなくても自分から積極的に関わっていくのに、苦手なものに対しては、できるだけ関わりたくないという苦手意識が先行し、よけいどんよりとした思いに包まれたり・・・。  それに加えて年齢を重ねるたびに、苦手なものからは、うまく逃げるコツを身につけていく気もします。

そもそも苦手意識を持ち始めるきっかけは、何歳いつぐらいから作られていくのでしょうか。自分で何かをして「苦手」を発見してしまうのか、それとも周りの環境によって作られてしまうのでしょうか?

私事ですが、息子が初めて歩き出した時、母として余りの嬉しさに家の周りの犬走りを何周も歩かせていたところ、急に歩かなくなり、その日を境に1ヶ月近く、立たせると座るという行動を取るようになってしまいました。この場合は「やりすぎ」という言葉が適ていると思いますが・・・。とにかく、自分の子どもに対しては「親の欲」というのでしょうか、口やかましく、大人目線で物事を教え過ぎてしまう気がします。おまけに答えまで押し付け・・・。せめて答えは、子どもが出すまで待つ余裕が欲しいですね。 
今回ご紹介する絵本は、絵の嫌いな主人公のワシテが、苦しまぎれに描いたちっぽけな「てん」と先生の思いがけない行動により、ワシテの眠っていた力をワシテ自身が、目覚めさせていくというお話です。未知なる力を忍ばせている子どもと向き合う時、何が大切なのでしょうか。

この絵本を読見終わったあなたの心には、何が残るでしょうか。私の心には、春の日差しのような穏やかなぬくもりと、小学校時代の大好きだった恩師の顔が・・・。 はな

がたごとがたごと

てん

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