横浜市幼稚園協会

子育て応援団 〜絵本の散歩道〜

NO.115  『 せとうちたいこさん デパートいきタイ 』
長野ヒデ子・作   童心社   

還暦を過ぎた私の小さい頃、三学期が始まる前の何日間か東京の母の実家に泊まり、入り口にライオンの置物があるデパートにわくわくして行きました。買ってもらったものは何も思い出さないのですが、テーブルの真ん中に大きな急須とお茶碗がおいてある食堂で焼きりんごを食べ、屋上の遊園地で遊んだのを思い出しました。帽子をかぶったタイのたいこさんは「タイだってデパートにいきたーい」と洗濯ものを干してある海の中から、入り口に猫の置物があるデパートに。 。

たいこさんは化粧品売り場で「みずみずしいおはだですね」といわれ、おしろいを塗ってもらい、靴、宝石、帽子を見てまわります。下着売り場では「こんなのつけてみたーい」と感激。紳士服売り場ではネクタイが気になり、すべての売り場、催事場を回ってレストランへと大忙し。レストランではさくらんぼをのどに詰まらせ、医務室で一休み。元気になったたいこさん、食品売り場に行くと、そこは鮮魚コーナー。驚いて海へ「かえりたーい」と帰ります。たいこさんの子どもたちに囲まれて「海がいいわ」といいながらも、「それでもやっぱりでかけたーい」と言うたいこさん。

最後のページには、落し物の帽子とハイヒールが届けられ、レストランで同席した男の子が、迷子になり、お母さんと落ち合う話が描かれて終ります。

この迷子になった男の子はデパートの入り口でも化粧品売り場でも、おかあさんとは別の方向を見ています。エレベーターでたいこさんと一緒になり、レストランではこの親子がお茶しているところに、たいこさんが同席します。魚売り場ではおいしいよと魚を差し出され、驚いたたいこさん。その様子に気を取られているうちに男の子は迷子になってしまうのです。
 デパートの入り口で時計を見て、いらいらしていたおじさんは??・・・さてどうなったでしょう。

買い物客の中には白い杖を持つ人や盲導犬(補助犬)、車椅子に乗る人、お年より、黒人、白人、インド人らしき人、お相撲さんの他にやくざっぽい人まで描かれています。世の中にはいろいろな人がいて当たり前という作者の姿勢が読み取れます。

デパートで開催されている原画展は同じ作家の長野ヒデ子さんが描いた紙芝居『ねこのたいそう』(童心社発行)の原画です。子どもたちに大うけの紙芝居ですので是非ご覧下さい。 他にも色々書きこみ(描きこみ)がありますよ。

子育てに忙しいお母さん!たまには子どもを預けて、デパートでウインドーショッピングを楽しんでください。(具)

せとうちたいこさん デパートいきタイ

せとうちたいこさん デパートいきタイ

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