NO.114 『 じぶんだけの いろ 』
いろ さがした カメレオンの はなし 作 レオ=レオニ 訳 谷川俊太郎 好学社
「カメレオン」と聞いてあなたは何を思い浮かべますか?
イラストレーターでグラフィックデザイナーのレオ=レオニは、一見地味なカメレオンを真っ白な画面にいろいろな色を使った押絵で表現しています。
この本の表紙を年長児に見せると「あっ 虹色だ」「きれーい」と子どもの中からつぶやきが聞こえてきました。
年少児に見せたときにはページをめくるたびに「赤」「黒」「ピンク」と保育者の読むリズムに合わせて色の名前を言い、虹色のカメレオンがそれぞれの色をつけ重なり合う場面では「わたし、赤のカメレオン」「ぼく、青」と、自分の気に入ったカメレオンを言い出しました。
レオ=レオニの絵本には子どもだけでなく、大人も惹きつけられる魅力があります。何気ない文章の中に「私とはなにか」「人とかかわり生きることとは」などと考えてしまうのは、私だけではないと思います。
「ぼくらは どうしても じぶんの いろを もてないんだろうか?」との問いかけに、仲間のカメレオンは「ざんねんながらね」「でも、ぼくらいっしょにいてみないか?いくさきざきで やっぱりいろはかわるだろう、だけどきみとぼくはいつもおなじ」と言います。私は、このフレーズがたまらなくすきです。あなたはどんなことを感じるでしょうか?(はな)