横浜市幼稚園協会

子育て応援団 〜絵本の散歩道〜

NO.101  『 聖なる夜に 』
ピーター・コリントン  BL出版

年齢のせいとは思ってはいませんが、残念ながら私は、自分の子ども時代の記憶の中に、サンタ・クロースの姿を見つけることができないのです。ですから、寝た振りをし、どきどきしながらサンタが来るのを待っていたとか、ある時、サンタが本物ではないということに気づいてしまったなど、子どもにとっては、人生の岐路となるような大事な記憶に欠けているのです。

勿論、ただ単に我が家にはサンタが来なかったということも十分考えられますが、その可能性を差っ引いても、サンタ・クロースに関しての記憶が、何らかの理由ですっかり欠落しているとしか考えられないのです。それでも、私なりにはクリスマスの楽しい思い出は沢山あり、クリスマスには、何か素敵なことが起こるかもしれないという思いは今も変わりません。

今回ご紹介する絵本は、サンタ・クロースは登場してきませんが、素敵で不思議な、心暖まるけどやっぱり少し寂しいクリスマスの夜のお話です。でも、原題の『A Small Miracle』の方がぴったりくるかもしれません。クリスマスには、やはり不思議なことが起こるのです。

作者のピーター・コリントンの作品は、この絵本も含めて、文字のないものばかりですが、細部にまで配慮の行き届いた落ち着いた絵からは、言葉以上にしっかりと物語が伝わってきます。お話とすれば、日本の『かさじぞう』などとも共通しているようにも受け取れます。人の気持ちは、外国でも日本でも、キリスト教であっても仏教であっても変わらないということなのかもしれません。(S.T)

聖なる夜に

聖なる夜に

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