横浜市幼稚園協会

子育て応援団 〜絵本の散歩道〜

NO.90  『 ここにいたい! あっちへいきたい! 』 −にひきののみのはなし−
レオ=レオニ  訳 谷川俊太郎    好学社

この本の表紙を見ると大きな犬が一匹という絵なので、最初は犬が主人公なのかな?と思う人もいると思います。しかし、実は副題に、二匹ののみのはなしと書いてあるように主人公は“のみ”なのです。

レオ=レオニの絵本は副題がついているものも多く、この絵本もその数ある中の一冊です。お話は二匹の“のみ”が色んな動物に移りすみながらも、一匹は一番初めにいた犬の体の中へ移り戻り、もう一匹は他のどうぶつに移り、冒険を続けていくというものです。ところが、絵本の中には“のみ”の姿はどこにもなく、二匹ののみの会話だけが描かれているので、一回目に子ども達に読んだ時は、あまり意味がわからない様子でした。それでも何回か読むうちに話を理解し、“のみ”というものを子どもなりに想像し、「のみってどんな生きものなのだろう」と興味を持つ子もいました。

そして、二匹の“のみ”のそれぞれ違った生き方に「自分だったらどちらの生き方がいいかな?!」と、大人でもちょっと楽しめる本かもしれません。“のみ”というものが絵本の中に絵としてできてしまうと、子どもの中で、「こういうものだ」と多少決めつけられてしまう部分がありますが、あえて主人公の姿を見せないことで、子ども達に想像する楽しみも与えてくれる本だと思いました。 Nao

ここにいたい!あっちへいきたい!

ここにいたい!あっちへいきたい!

絵本インデックスへ戻る。