横浜市幼稚園協会

子育て応援団 〜絵本の散歩道〜

NO.84  『 タンゲくん 』
片山 健          福音書店

私がこの絵本を手に取ったのは、以前飼っていた猫にどことなく似ているなあと思ったのがきっかけでした。片目の野良猫が家に住みつき、お父さんがタンゲくんと名前をつけます。虫取りが得意で、掃除機が苦手なタンゲくんは昼間は他の猫たちといなくなり、「本当は誰かに飼われている猫なのか・・・」「ケンカをしているのでは・・・」と心配になるのですが、夜になるとちゃんと帰ってくるのです。

私が飼っていた猫も、いつも昼間は姿は見えず、どこに行ったのかわからなくなるのですが、必ず夜になると帰ってきて私の布団の上に乗って寝ていました。時々、大きな傷を作って帰ることもあり、その度に「またケンカしてきたんだなあ・・・」と心配したのを思い出します。そして、いつも自分の好きなように生きて、やりたいことをやっている姿に、うらやましい気持ちを持っていました。

この絵本をクラスで読んだ時、子ども達が表紙の絵を見て、「なんかこわい」とつぶやいていました。この本に描かれているタンゲくんの姿は、子どもが好むであろうかわいいとかきれいな絵とは違うかもしれません。でも、このすごい風貌の絵だからこそ、自分の生き方を貫いているような力強さが感じられるのではないかと思います。「こう生きたい」と思う心に勇気を与えてくれる一冊です。  (M・I)  

タンゲくん

タンゲくん

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