横浜市幼稚園協会

子育て応援団 〜絵本の散歩道〜

NO.68  『 おやすみなさい フランシス 』
ラッセル・ホーバン 作 ・ガース・ウイリアムズ 絵   福音館書店

フランシスシリーズは何冊かありますが、その中の一作目であるこの本の絵だけは『しろいウサギとくろいウサギ』のガース・ウィリアムズが描いていて、色調が柔らかく表情や仕草が細やかな所まではっきり描かれています。

主人公である愛嬌たっぷりのアナグマ フランシスはなんでも歌にしてしまう特技と想像力を持ち合わせ、お話も子どもの日常性をとりあげ、生活に密着していることと合いまって見ている子どもはお話の世界に入り込んで一緒に楽しむことができます。

お話は、フランシスが両親から寝る様に言われしぶしぶベッドに入り、ミルクがほしいなどと色々要求します。お父さんとお母さんは丁寧に応えてあげますが、フランシスはなかなか眠れず、歌をつくったり色々な事を想像します。そして、想像が膨らんでいく度にベッドから起き出し、両親の所へ行って話します。お父さんはフランシスが安心して眠れる様に対応しますが、最後には・・・。しかたなくフランシスは部屋に戻り、またあれこれと考えながらも疲れて寝てしまいます。

子どもの頃、部屋に1人眠っていると暗闇や静けさでなかなか眠れず、目に入るもの耳に入るものが不気味で、思わず布団を被りたくなった経験はないでしょうか。フランシスの様に何事も心で受け止め、感じ考えることのできるのが子どものすばらしさだと思います。ところが日々、忙しく過ごしている大人は自分の子ども時代を忘れ、子どもを早くはやくとせきたててしまいがちです。フランシスという主人公から、子ども心そのままを知ると共に、ほのかな懐かしさも感じる事が出来るので、大人が読んでも楽しめる一冊ではないかと思います。  S.Y 

ことばあそびうた

おやすみなさい フランシス

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