横浜市幼稚園協会

子育て応援団 〜絵本の散歩道〜

NO.66  『 いぬは てんごくで・・・ 』
作・シンシア・ライランド 訳・中村妙子  偕成社 

ひろいひろい野原ではしりまわったり、ドッグ・ビスケットをどっさり食べたり、いえをもらったり・・・犬にとってはとても幸せな世界がこの本には描かれています。

生きている間、鎖でつながれて自由に走り回れなかった犬も、何らかの理由で飼い主に捨てられたり、愛情を受けられなかった犬も、みんな天国ではいつまでもいつまでも幸せに暮らせるのです。

この本は、どのページを見ても文が短く淡々としています。しかしその一文一文に作者の犬に対する深い愛情が感じられ、一言一言に重みが感じられます。はじめは、自分が好きという理由で子ども達に読んだのですが、本の中では「死ぬ」という言葉は書かれていないものの、てんごくという言葉で「死」という漠然としたイメージを持つかもしれませんが、子ども達にとって身近な犬が天国ではこんなにも楽しそうに遊んでいるんだという安心感のようなものが、絵本を見ている子ども達の表情から伝わってきました。犬たちは天国でも、死んでしまっても新たに生き続けているんだという思いが心の中に広がってくれればと思います。

この作品は、作者のシンシア・ライラントが初めて自分で絵をつけた作品です。とても色鮮やかで、犬達の幸せそうな様子が伝わってきます。子どもはもちろん、犬好きな人、そうでない人にもきっと心に響く一冊です。(N. H)

いぬは てんごくで・・・

いぬは てんごくで・・・

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