横浜市幼稚園協会

子育て応援団 〜絵本の散歩道〜

NO.61  『 めがねなんか、かけないよ 』
レイン・スミス/作 青山 南/訳  ほるぷ出版

「これを使えば1ヶ月で数センチ背が伸びます」だとか「飲むだけでびっくりするほど痩せられます」といった類いの広告を目にすることがあります。いかにも怪し気ですが、深刻に悩んでいる人と、信じる人がいるからこそ、いつの世にも登場してくるのでしょう。

「めがね」は、私のように目の悪い人間にとっては必要不可欠で、その機能に関して疑う人などいないように思いますが、世の中に最初に登場した時には、ひょっとすると「これさえかければ遠くの物でも何でもはっきり見えます」とか「あなたの見ている世界が激変します」といったインチキ臭いうたい文句が付いていたのかも知れません。この絵本の見開きからは、そんな怪し気な雰囲気がちょっぴり漂ってきます。

この絵本は、なんとか「めがね」をかけさせようとするお医者さんと子どもとのまことにインチキ臭いやりとりが筋となっています。しかし、論より証拠で、ぼんやりとしか見えていなくてもそれで当たり前と思っていた世界が、「めがね」をかけることによって、それこそ激変してしまう子どもの心の動きが、これまたかなり怪し気に、また楽しく描かれています。そして、目が悪く、かなり度の強い「めがね」をかけている私としては、この子の驚きに共感してしまうのです。

この絵本は、かなり怪し気な内容で、あまり好まないという方も多いかも知れませんが、この紹介文という「めがね」を通して、少しでも楽しさが伝えることができれば幸いです。(S.T)

14ひきのぴくにっく

めがねなんか、かけないよ

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