NO.261 『いすうまくん』
かどのえいこ 作 / こうもとさちこ 絵 福音館書店
子どもの頃、夏休みに祖父母宅に行くのを心待ちにしていたことを今も鮮明に覚えています。
でも、私の祖父母の家は東京で、田舎というよりも近所に遊びに行く感覚だったので、この絵本を読んだときに、タッくんがとてもうらやましく思いました。
挿し絵の、木々に囲まれた一軒家。薄暗い物置。その中で見つけた、お父さんの使っていた麦わら帽子と『いすうまくん』 お父さんの幼少期に体験したことを、自分も体験する。 しかも周りを見渡すと、たくさんの子どもたちが自分と同じ体験をしている。
本来、椅子はすわるもの。そして、動かないもの。その固定概念を払拭する展開に、自分もタッくんのように『いすうまくん』と空を飛んでみたいと思いました。
最後に、タッくんがお父さんに今おきた出来事を話そうとすると、お父さんがにやっと笑い、「きみも あそこに いったんだね」と一言。お父さんとタッくんが、共通の秘密をもったことの嬉しさ・楽しさに、保育者として子どもの思いを共有することの大切さを改めて感じました。
『いすうまくん』をとおして、子どもの頃にみた夢や希望を思い返してみてはいかがでしょう? (藍)