NO.212 『おべんとう』
小西栄子 さく 福音館書店
我が園では月に1回手作りお弁当の日があります。子どもたちはその日を本当に楽しみにしていて、いつもより重いかばんを嬉しそうに背負ってにこにこ顔で登園してきます。
「ぼくのお弁当はからあげなんだ!」「デザートはいちごなの」と子どもたちの中でも会話が弾んでいるのですよ。お弁当のことが気になりながら午前中を過ごし、「お腹すいた〜」「早く食べたいな〜」と声が聞こえてきた頃、待ちに待ったお弁当の時間となりました。そして、ついにお弁当箱を開ける時が来たのです。蓋を開けた瞬間、まるで宝箱を開けたかの様に目を輝かせ「わぁー」と思わず声がこぼれてしまう程子どもたちは喜びます。
そして、「いただきます」をすると、好きなおかずから食べる子や好きなものは最後まで残しておく子など様々ですが、少し苦手な野菜でもお母さんが愛情たっぷりに作ってくれたお弁当であれば不思議と食べることができるのです。お弁当にはこんなパワーもあるんですね。
「おべんとうばこよういして さあてなにからいれようか」
そんな言葉から始まるこの絵本は、まだ何も入っていない空のお弁当箱の中にページをめくる度に次々とごはんやおかず、デザートなどが詰められていきます。絵も細かく描かれていて色も鮮やかなので絵本からいい匂いがしてきそうです。そして、絵本の最後には今にも手を伸ばしてしまいそうな程美味しそうなお弁当が完成するのです。どれもとっても美味しそうなので、何から食べようか迷ってしまうかもしれませんね。
この絵本を見ていたら、子どもの頃母に作ってもらったお弁当をワクワクしながら開けた事を思い出しました。
そんな懐かしい気持ちにもなるこの絵本は子どもはもちろん大人も楽しめる一冊となっていますので是非一度ご覧ください。