横浜市幼稚園協会

子育て応援団 ~絵本の散歩道~

NO.210  『ジジは ぼうし なくした』
ブルーノ・ムナ−リ/作  谷川俊太郎/訳  フレーベル館

  今回紹介する絵本は、フレーベル館から出版されたばかりのブルーノ・ムナ−リの1945シリーズの6冊目です。裏表紙を見ると、どうやら9冊のシリーズとなっているようですが、1945年にイタリアで出版されたムナ−リの10冊の絵本が元になっています。こんなに楽しい絵本なのに、なぜ70年近くも日本で出版されなかったのか分かりません。

ちなみに、1945年といえば第2次世界大戦が終結した年です。イタリアは、ドイツや日本より早めに降伏してしまったとはいえ、国全体が混乱の極みであったはずですから、絵本を楽しむ余裕などなかったように思うのですが、そんな時こそ、子どもたちには明るく楽しい絵本が必要だったのかもしれません。

ムナ−リにしてみても、敗戦の重苦しい雰囲気を吹き飛ばすために、10冊位まとめて出してやろうじゃないか、という気持ちになったのかもしれませんね。

このシリーズは、フラップ(蓋紙)があったり、切り込みや折り込みがあったりと、遊び心満載の仕掛けが施されていて、どれも、子どもも大人も楽しめる作品となっています。私がシリーズの中でこの本を選んだのは、たまたま立ち寄った書店にはこの絵本しかなかったからで、どれも楽しくお勧めです。(S.T)

ジジは ぼうし なくした

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